日本酒には、はっきりとした季節があります。冬に搾られる新酒・しぼりたて、春の生酒、6月ごろから出回る夏酒、そして9月に解禁されるひやおろし——同じ銘柄でも、時期によってまったく違う顔を見せます。このページは、日本酒の一年を1月から12月まで月ごとに整理した季節カレンダーです。各月の旬のお酒、行事とお酒の関わり、おすすめの飲み方・温度帯、旬の肴を、関連する記事への案内とあわせてまとめました。気になる月からどうぞ。
季節の日本酒はいつからいつまで?早見表
| 季節のお酒 | 時期の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 新酒・しぼりたて | 11月〜翌3月 | 搾りたての若い酒。出荷の最盛期は12〜2月。生酒は要冷蔵 |
| 春の生酒・うすにごり | 3〜5月 | 軽やかでフレッシュ。蔵開きシーズンの楽しみ |
| 夏酒 | 6〜8月 | 低アルコール・高酸度の夏限定酒。店頭に並ぶのは5月末ごろから |
| ひやおろし・秋あがり | 9〜11月 | 春の酒を一夏熟成させて出荷。まろやかで食中酒向き |
| 燗がおいしい季節 | 11月〜翌3月 | ぬる燗〜熱燗。鍋・おでんの季節と重なる |
- ひやおろしはいつからいつまで?
9月上旬に出始めて11月ごろまでが目安です。春に搾った酒を一夏熟成させ、外気温が下がったころに「冷や」のまま卸す秋の日本酒で、時期は流通の慣行のため蔵や年により前後します。
- 新酒(しぼりたて)の時期は?
店頭に出回るのは11月〜翌3月で、出荷のピークは12〜2月です。広い意味の「新酒」は酒造年度(7月1日〜翌6月30日)内に造られた酒の総称です。
- 夏酒はいつから買えますか?
5月末〜6月ごろから店頭に並び始め、8月ごろまで楽しめます。低アルコール・高酸度に設計された夏限定の日本酒で、よく冷やして飲むのに向きます。
1月|新酒とお屠蘇——一年でいちばん酒が生まれる季節
年明けの祝いはお屠蘇とお神酒から始まり、蔵では厳寒期の仕込み(寒造り)が最盛期を迎えます。店頭には搾りたての新酒・しぼりたてが最も充実する時期。フレッシュな生酒と、体を温める燗酒——冬の日本酒の両極を楽しめる月です。
- 行事と酒:正月のお屠蘇・お神酒、年明けの鏡開き(樽酒をふるまう祝いの行事)
- 飲み方・温度帯:燗酒はぬる燗〜熱燗(40〜50℃)。しぼりたての生酒は花冷え(10℃前後)で
- 旬の肴:寒ブリ、牡蠣、おせちの残りの数の子・田作り
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2月|寒造りのピークと立春朝搾り
一年で最も寒いこの時期は、雑菌が少なく発酵をゆっくり進められるため、酒造りの適期とされてきました。立春の未明に搾った酒をその日のうちに届ける「立春朝搾り」など、季節の企画酒も動きます。にごり酒・おりがらみといった冬らしい酒質も豊富。バレンタインには日本酒とチョコレートの意外な相性も試してみてください。
- 行事と酒:節分・立春(立春朝搾り)、バレンタイン
- 飲み方・温度帯:搾りたては雪冷え〜花冷え(5〜10℃)。定番の燗酒も引き続きおいしい時期
- 旬の肴:牡蠣、ふぐ、ビターチョコレート
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3月|春の生酒とひな祭りの白酒
春の訪れとともに、うすにごりや春限定の生酒が並び始めます。ひな祭りの白酒は、みりんや焼酎をベースにした甘い混成酒で、ノンアルコールの甘酒とは別物——れっきとしたお酒なので大人だけの楽しみです。卒業・送別の季節、贈る一本を選ぶ機会も増えます。
- 行事と酒:ひな祭り(白酒)、春彼岸、送別の宴
- 飲み方・温度帯:春の生酒は涼冷え(15℃前後)で柔らかさを楽しむ
- 旬の肴:ふきのとうなど山菜の天ぷら、ホタルイカ、春の貝類
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4月|桜の季節と蔵開き
桜の下で楽しむ一杯が最も似合う月。屋外では温度管理がむずかしいので、保冷ボトルや小容量瓶が活躍します。全国の酒蔵では蔵開き・新酒まつりが集中する時期で、搾りたてをその場で味わえる貴重な機会。新生活のスタートに、お酒の贈り物を選ぶ月でもあります。
- 行事と酒:花見の宴、各地の蔵開き・新酒まつり
- 飲み方・温度帯:春の生酒やスパークリング日本酒を花冷え(10℃前後)で。屋外は飲みすぎ・温度に注意
- 旬の肴:桜エビ、筍、木の芽和え
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5月|初夏の冷酒シフトと菖蒲酒
気温の上昇とともに、燗から冷酒へ飲み方が切り替わる境目の月です。端午の節句には菖蒲の根を浸した菖蒲酒という古い風習も。大型連休は家飲みや外飲みの機会が増えるので、日本酒ベースの軽いアレンジや、手早く作れる肴のレパートリーがあると便利です。
- 行事と酒:端午の節句(菖蒲酒)、大型連休の家飲み・外飲み
- 飲み方・温度帯:涼冷え(15℃)から雪冷え(5℃)へ。日本酒ハイボールなどのアレンジも良い季節
- 旬の肴:初鰹、そら豆、アスパラガス
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6月|梅仕事と夏酒のはじまり
青梅が出回る梅仕事の季節。自家製梅酒はアルコール分20度以上の酒で漬けて自分で飲む分には合法ですが、酒税法上のルールがあるので基本を押さえておきましょう。店頭では夏酒が並び始めます。低アルコール・高酸度で、じめじめした季節でも軽く飲めるのが持ち味です。
- 行事と酒:梅仕事(自家製梅酒・梅シロップ)、父の日
- 飲み方・温度帯:夏酒は雪冷え〜花冷え(5〜10℃)。梅酒はソーダ割りで爽やかに
- 旬の肴:鮎、新生姜、梅を使った料理
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7月|夏酒本番——酒造年度が切り替わる月
7月1日は酒造年度(BY)の始まり。日本酒の「年度」はここで切り替わります。店頭は夏酒の最盛期。よく冷やした一杯を薄手のガラス酒器で楽しむと、見た目からも涼が取れます。土用の丑の日には、うなぎと日本酒の王道の組み合わせを。
- 行事と酒:七夕、土用の丑の日(うなぎ×日本酒)
- 飲み方・温度帯:雪冷え(5℃)が基本。冷酒グラス・ガラスの酒器が活躍
- 旬の肴:うなぎ、枝豆、冷奴、白身の刺身
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8月|盛夏の涼み方とお盆の酒
猛暑の時期は、氷を浮かべる日本酒ロックや凍結酒など、涼を優先した楽しみ方が主役になります。汗をかく季節は酔いが回りやすいので、和らぎ水(チェイサー)を必ず添えて。お盆の帰省では、土産の一本や御供の酒を選ぶ機会も多い月です。
- 行事と酒:お盆(帰省土産・御供の酒)、夏祭り
- 飲み方・温度帯:日本酒ロックや炭酸割りで軽く。和らぎ水を忘れずに
- 旬の肴:素麺、とうもろこし、すだちを搾った焼き魚
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9月|ひやおろし解禁と月見の一杯
春に搾った酒を一夏熟成させ、外気温が下がったころに出荷するひやおろしの解禁月。角が取れたまろやかな味わいは食中酒の本領です。9月9日の重陽の節句には菊の花を浮かべる菊酒、中秋の名月には月を眺めながらの一杯と、風流な行事が続きます。
- 行事と酒:重陽の節句(菊酒)、十五夜(月見の一杯)
- 飲み方・温度帯:常温(冷や)〜涼冷え。熟成感のあるものはぬる燗でも化ける
- 旬の肴:秋刀魚、きのこ、里芋の煮っころがし
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10月|日本酒の日と新米の季節
10月1日は「日本酒の日」。十二支で10番目の「酉」が酒壺を表す字であること、新米での酒造りが始まる時期であることにちなみます。ひやおろしは熟成が進んで飲みごろの佳境へ。全国の酒どころを産地から辿ったり、利き酒会を開いたりと、飲み手の実りの秋でもあります。
- 行事と酒:日本酒の日(10月1日・乾杯イベント)、収穫祭
- 飲み方・温度帯:秋あがりを常温〜ぬる燗(40℃)で。熟成の丸みを引き出す温度帯
- 旬の肴:新米の炊きたてに合う肴、戻り鰹、銀杏
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11月|燗の季節入りと仕込みの本格化
朝晩が冷え込み始めたら燗の季節。まずはぬる燗(40℃)から入ると、日本酒の甘みと旨味がふくらむのを実感できます。蔵では新酒の仕込みが本格化し、早い蔵からはしぼりたての第一弾も。鍋・おでんと燗酒の組み合わせは、この季節だけのごちそうです。
- 行事と酒:酉の市、七五三——祝いの席の一杯
- 飲み方・温度帯:ぬる燗(40℃)から始める燗入門。温かい酒は飲むペースもゆっくりと
- 旬の肴:湯豆腐・おでんなどの鍋もの、チーズや漬物などの発酵つまみ
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12月|しぼりたて新酒と年締めの一杯
新酒のしぼりたてが続々と届き、一年の日本酒がふたたび冬に還る月。忘年会が続く時期こそ、純アルコール量20gの目安と和らぎ水を思い出して、体をいたわりながら楽しみましょう。一気飲みは量にかかわらず危険です。大晦日は年越しそばに熱燗を合わせて、静かに一年を締めくくるのも一興です。
- 行事と酒:忘年会、お歳暮、大晦日(年越しの一杯)
- 飲み方・温度帯:しぼりたては冷やで、締めは熱燗で。飲む量は事前に決めておく
- 旬の肴:おでん、蟹、年越しそば
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日本酒の一年の骨格——酒造年度と季節商品の考え方
この一年の骨格になっているのが酒造年度(BY: Brewery Year)です。期間は7月1日から翌年6月30日まで。広い意味での「新酒」はその年度内に造られて出荷される酒の総称で、店頭でよく見る「しぼりたて」の新酒は冬が本番です。本ページの各月の時期は法律ではなく流通の慣行に基づく目安のため、蔵や年によって前後します。内容は毎年1回見直します。用語に迷ったらお酒用語事典、数字で見たいときは日本のお酒統計もどうぞ。